EXILE ATSUSHI + AI『No more』 解説 & INTERVIEW



【解説】

2008年に発表された『So Special』、2015年9月にリリースされた『Be Brave』に続き、3度目のコラボレーションとなる本作『No more』は、広末涼子さん、内田有紀さんの共演で話題のフジテレビ系木曜劇場『ナオミとカナコ』の主題歌として起用されている。ドラマでは、受け入れがたい現実に追いつめられたヒロインが、泥沼の日常を抜け出して人生を取り戻すため、自分の身を自分で守るため、勇気をもって踏み出す姿が描かれる。そんなヒロインたちの心情に、力強くも繊細に寄り添う珠玉の本作は、そんなドラマの世界観に合わせATSUSHIとAIのふたりが書き下ろした。稀代のヴォーカルEXILE ATSUSHIとAIが織り成す美しいハーモニーに、聴く者すべての心が揺さぶられるだろう。

【INTERVIEW】

<EXILE ATSUSHI>
今、暗闇のなかにいる方だけではなく、壁にぶち当たっている方、悩みを抱えている方……、すべての方に向けた、希望を持ち一歩踏み出す大切さを歌った曲

――2008年に発表された『So Special』、昨年9月にリリースされた『Be Brave』に続き、3度目のコラボレーションになりますね。

「そうですね。 周囲をハッピーにさせるAIちゃんの明るさや、彼女の持つパワーと一緒に、こうしてまた新しい作品を作ることができてすごくうれしく思っています」

――今作はフジテレビ系ドラマ『ナオミとカナコ』の主題歌として起用されていますが、ドラマの世界観に合わせ、ATSUSHIさんとAIさんのおふたりで歌詞を書き下ろしたと伺っています。

「ドラマのストーリーが“DV”をテーマにした内容だったので、その内容を踏まえたうえで “つらい想いをしている現状から、少しでも光のある場所へ……、明るい未来へ抜け出そう”というテーマを定めて制作していきました。もちろんDVを受けている方だけではなく、たとえばイジメに遭っていたり、虐待を受けていたり、人に話せないような事情を抱えていたり……、そういう深い暗闇のなかにいる、希望を失いかけている方全員の心に、優しく……、かつ強く寄り添うような曲になっていると思います」

――タイトルの『No more』には、どのような想いが込められているのでしょうか?

「“No more”という言葉自体に、“これ以上、このままではいけない”といった、現状を打破する決心の表れの意味があるんです。だから、“これ以上、泣いていたくない。これ以上、自分を傷つけたくない。現状を打破しなければ。守るべき大切なもののために、強い信念を持って貫いていこう”という想いを楽曲に投影していきました」

――“あきらめるにはまだ少し早すぎる”というフレーズには、心に響くものがあり、勇気が湧いてきました。

「ありがとうございます。そのフレーズには特に、イジメの問題やDVの問題など、さまざまな環境のなかで弱い立場にいらっしゃる方々に向けて、“勇気を出して、そこから抜け出そう”という強い想いを込めています。 そのような環境に置かれている方々にとって“一歩踏み出す”ということは、けっして簡単なことではないと思いますし、ものすごく勇気がいることだと思う。だから……、このフレーズで、少しでも勇気を持つキッカケになれるよう、背中を押すというよりも、そばに寄り添うような存在で在れるよう願いながら歌詞を書きましたし、レコーディングをしていきました。この願いが届けばいいなぁと思います」

――作詞はATSUSHIさんとAIさん共同で制作されたそうですが、進行していく際に、AIさんとは具体的にどのようなやり取りがあったのでしょうか?

「ちょうどAIちゃんが出産直後でもあったので、直接会って一緒に作っていくというよりも、“ここのフレーズは、こういうのはどうかなぁ?”というように、LINEでのやり取りが多かったですね。たとえ夜中だったとしても、明け方だったとしても、やっぱりお子さんが泣いてしまったり起きてしまったら、AIちゃんも起きなければいけないときがあったでしょうし、体力的にもすごく大変なんだろうなぁ、大丈夫かなぁと心配になりながらも、“あぁ、お母さんになったAIちゃんとやり取りしているんだぁ”と感慨深くもあり、不思議な気持ちもありました(笑)」

――レコーディングはいかがでしたか?

「AIちゃんとのレコーディングは、いつもワクワクします。意見がぶつかることがほぼなくて、たとえばここは自分が引いたほうがいいんじゃないかなって引き算をするときでも、“せっかくカッコいいんだから、それは入れようよ”というように、常にお互いを尊重し合いながら制作に集中することができるんです。あとはお互いが書いた歌詞や歌ったフレーズにインスピレーションを受けて、自然に作業が進んでいくことも多いような気がしますね。前作の『Be Brave』からもそんなに時間が経っていなかったこともあって、阿吽の呼吸というか安心感がありました」

――今作で印象に残っている部分はありますか?

「AIちゃんとふたりで“あきらめるにはまだ少し早すぎる”と歌っているときは、イジメやDVといった問題でつらく苦しんでいる方々にとにかく届いてほしいという強い想いで歌ったので、すごく印象に残っています。あとは個人的には、出産して母親になり、守るべき大切なものができたAIちゃんの歌声に、より強さを感じたこと。また、今回のレコーディングの休憩時間に、AIちゃんのお子さんの写真を見せていただいたんですが、心がほっこりと癒されました。彼女とお会いすると、本当にいつも幸せな気持ちになりますね」

――AIさんと共同で作業されていくなかで、AIさんから刺激や影響を受けたりすることはありますか?

「それはもう、たくさんあります。もちろんAIちゃんに限らず、どのアーティストの方とコラボレーションをしてもそうなんでしょうけれど、特にAIちゃんの場合は、ひとつひとつの言葉がものすごく愛にあふれていて、音楽的にも人間的にも尊敬しますし、影響を受けています。刺激だらけですね」

――素敵な関係ですね。 さて、ちょうど今はミュージックビデオ撮影の休憩時間になりますが(※取材時)、撮影は順調ですか?

「順調です。『So Special』や『Be Brave』のミュージックビデオは、レコーディングスタジオでの撮影だったので、こうやってスタジオでセットを組んだミュージックビデオの撮影は、AIちゃんとは実は初めてなんです。だからすごく新鮮ですし、今までの作品とはまた一味違ったコラボレーション感をお見せできるのでうれしいですね」

――どのような世界観のミュージックビデオになっているのでしょう?

「スタッフの皆さんが、ドラマのストーリーとシンクロさせて考えてくださって、“闇と光”というコンセプトのミュージックビデオになっています。真っ暗で深い闇のなか、光はもう射し込まないような気がしても、必ず光は射し込んでくる。どんなときでも明けない夜はない。希望の光は灯るし、だから、とにかくあきらめない強い気持ちを持ってほしい……。そんなメッセージ性のあるミュージックビデオになっていると思います」

――ジャケット撮影のお話もお伺いしたいのですが、今作のフォトグラファー・NINA(217)さんは、AIさんの妹さんだそうですね。

「そうなんです。さっちゃん(Sachi/NINA)とは僕もお会いするのは久々だったので、緊張するのかなぁなんて思っていたんですが(笑)、さすがAIちゃんの妹なだけあって、会った瞬間に昔に戻りますね。終始ハッピーで和やかな雰囲気で撮影することができました」

――NINA(217)さんをフォトグラファーとして起用されたのは、ATSUSHIさんのご提案だったとか?

「もともとL.A.でフォトグラファーをされているというお話はAIちゃんから聞いていたので、せっかくならと思って。きっとAIちゃんのほうから妹さんにはお願いしづらいでしょうし、AIちゃんとさっちゃんにも感謝の気持ちを込めて(笑)」

――ありがとうございました。それでは最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いいたします。

「今、暗闇のなかにいる方だけではなく、壁にぶち当たっている方、悩みを抱えている方……、すべての方に向けた、希望を持ち一歩踏み出す大切さを歌った曲になっています。僕たちも自分自身に言い聞かせるような気持ちで歌い、ミュージックビデオも撮影しました。今作が皆さんにとっての光のような存在になれたらうれしいです。ぜひ、聴いてください」

<AI>
自分の身を自分で守るために、自分の人生を、自分自身を取り戻すためだって考えたら、やっぱりヒロインを応援したくなるような気持ちにもなる。だから、複雑で難しかった

――ATSUSHIさんと3度目のコラボレーションとなる『No more』は、フジテレビ系ドラマ『ナオミとカナコ』の主題歌として起用されています。主題歌のお話を受けた際、率直にどのようなお気持ちでしたか?

「ドラマのストーリーを聞いて、ものすごくおもしろそうで興奮しました。だから、ドラマに恥じない曲を作らなきゃって、とにかく気合いが入りました」

――歌詞は、ドラマの世界観に合わせ、AIさんとATSUSHIさんのおふたりで書き下ろしたと伺っています。

「ヒロインふたりがひとりの男性を殺そうっていう計画を立てるんですが、もちろんそれはよくないことだけれど、自分の身を自分で守るために、自分の人生を、自分自身を取り戻すためだって考えたら、やっぱりヒロインを応援したくなるような気持ちにもなる。だから、複雑で難しかったですね。あっちゃんとかなり相談し合って、悩みながら作りました。あっちゃんとはLINEでのやり取りが主だったんですが、歌詞を投げ合いながら作っていきましたね」

――LINEでのやり取りが多かったんですね。

「そうなんです(笑)。我々がですね……、このとき見事に時間が合わなくて(笑)。私は赤ちゃんが生まれたばっかりだったので子育てに奮闘していたし、あっちゃんはちょうどツアー中だったので。 赤ちゃんの世話とか母乳をやりながら歌詞を考えていったので(笑)、初めてだったこともあってかなりやりにくかったです(笑)。でも、おかげでよりこの作品に気持ちが入りました」

――ATSUSHIさんと共同で作業されていくなかで、ATSUSHIさんから刺激や影響を受けることはありますか?

「すごくあります。やっぱり、あっちゃんはとにかく歌が上手だし、レコーディングのときも勉強になることがたくさんありますね」

――たとえば、どのような?

「時間に無駄がない(笑)。それはすぐに作業が終わらせるという意味ではなくて、お互い妥協はいっさいしない性格なので、納得するまでとことん時間をかけて作っていく部分は共通しているんですけど、私はどちらかというと、余計な話を途中で挟みながら進めるタイプというか(笑)。あっちゃんもたま~にしゃべりますけど(笑)、でもやるときはものすごい集中力でパパパッと進行していくから、そういう姿を見ていつも感心しています。“あぁ、私もそろそろこういう集中力を身につけないとなぁ……”って(笑)。あとは歌詞の書き方。たくさん書いているだけあって、言葉もポンポン出てくるし。私は結構感じたこと、思ったことをそのままの言葉で歌詞に落とし込んでいくんですけど、あっちゃんは詩的というか……、詞で雰囲気や世界観を作れてしまう。それがすごいなぁと思いますね。他のアーティストの方とコラボレーションをすると、そういう部分を目の当たりにできるので勉強になります。だから今回もすごく楽しみながら、いろいろと勉強させていただきました」

――ちょうど今はミュージックビデオ撮影の休憩時間になりますが(※取材時)、現時点での手ごたえや感触は?

「いやもうね、こんな壮大なミュージックビデオの撮影は久々なので、私としてはすごくうれしいです。いちいちセットや雰囲気がカッコいいというか(笑)。今までやったことのない撮り方もあって。ドラマの世界観でいうと “この人生から抜け出したい”っていう“葛藤”や“もがき”を、布を使った撮影で表現したり。布を使った撮影は、初めて挑戦したのですごく楽しかったし、最高でした。撮影が始まる前に説明を聞いたときは、“ヤバイ……。これ、私がやったらちょっと笑っちゃうかも(笑)”って思っていたんですけどね(笑)。だって、布からパッて私が出てくるなんて(笑)。こんなにいい曲なのに、こんな私がいきなり布からパッて出てきたら、雰囲気を壊しちゃうんじゃないの?と(笑)。でも、監督の方やスタッフの皆さんのおかげで、めちゃくちゃカッコいい画になりました。とにかく、ミュージックビデオの完成が今から楽しみですね。休憩時間にはあっちゃんといろいろな話をしたり、ものすごく楽しい時間を過ごしています」

――今作『No more』のミュージックビデオの観どころはどんな部分にありますか?

「観どころ満載というか、観どころしかない(笑)。こういう本格的なセットでの撮影が私自身久しぶりでもあったし、あっちゃんとは初めてだったので、すごく感慨深かったですね。ライティングにも驚くほどこだわっていて、いろいろな種類のライトを使ったり……。ライトは、“希望への道筋”を表現しているんですよ。鏡を使ったシーンもあるし、さっき話した布でもがくシーンもあったりと、まるでアートのようなミュージックビデオ。この『No more』という楽曲の世界観が、ミュージックビデオではいったいどのように表現されるのか、私も完成が待ち遠しいですね。だから観どころはすべてです(笑)。めちゃくちゃ気合いを入れて臨みました」

――ジャケット撮影のお話もお伺いしたいのですが、今作のフォトグラファー・NINA(217)さんは、AIさんの妹さんだそうですね。

「むしろ私自身まったく聞いていなかったんですよ(笑)。“妹のSachiさんが撮影するのはどうかな?”っていうお話をいただいたときは、“え!?いいんですか!?”と(笑)。もちろん妹が自分の力でフォトグラファーとして頑張っていて、活躍しているのは理解しているし尊敬しているけれど、姉としてはやっぱり不安なこともあるわけで。自分だけだったらまだいいと思うんですよ。でも、今回はスターがいるから(笑)。もし撮影中に“あいつ、大丈夫け?”なんてことになったら……っていろいろと考えを巡らせちゃうし、だからこそ緊張しました(笑)。でも、本当にSachiは頑張っていて、最近特に成長したなぁって感じます。昔は全然うまいとは言えなかったけれど、この何年かで急激にスキルアップしたし、私にとってはどんなときでも一緒に作品を作りたいフォトグラファーですね。今回のSachiへのオファーは、姉としてもAIというアーティストとしても、すごくうれしかったです。……まぁ、まさかこの作品を撮ってもらうことになるなんて微塵も思ってもいなかったですけど(笑)」

――ATSUSHIさんは、Sachiさんがフォトグラファーとして活躍されていることはご存知だったんですか?

「かなり前に、あっちゃんに話はしたことがあったんです。Sachiがプロのフォトグラファーを目指して頑張っているんだよって。あっちゃんから“さっちゃん、最近何やってるの?”って聞かれたので、“今もフォトグラファーとして頑張っているよ”って返したんですけど。そしたらこんなことになって、私がいちばんビックリしました(笑)。ありがたいですね」

――ジャケットの完成も楽しみですよね。

「でも、あんなに緊張する撮影はないです(爆笑)。もしひとりだったら、リラックスしておちゃらけたりできるんだろうけど、誰かと一緒に撮るときってある程度協調し合いながら撮るじゃないですか。プラス自分の妹がフォトグラファーを務めるわけだから、ちょっとでも間が空くと“何してんだ、早く仕切れ” “しゃべってないで早く撮れ”って焦ったり(笑)。そんな姉心全開の撮影でした。でも、Sachiはすごく頑張ってくれていたし、本当に記念になった撮影でした。あっちゃんに感謝しています」

――ありがとうございました。それでは最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いいたします。

「今作『No more』は、3度目となるEXILE ATSUSHIくんと私AIのコラボレーション作品になります。歌詞の制作からミュージックビデオの撮影すべて、あっちゃんも私もいっさい妥協することなく臨みました。今回も最高の作品ができたと胸を張って言えますし、こうしてあっちゃんとまた作品を生み出せたことを誇りに思っています。また、ここまでハモっている曲もなかなかないと思うので、歌うときもすごく楽しかったですね。皆さん、ぜひ聴いてくださいね」

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