Interview インタビュー

EXILE TAKAHIRO「Love Story」インタビュー

EXILE TAKAHIROソロ、待望の第2弾シングル『Love Story』が、3月5日に発売になります。
同楽曲はTAKAHIROさんが初出演されているドラマ、日本テレビ系土曜ドラマ『戦力外捜査官』の主題歌として起用されていますね。昨年のインタビューの際、“まだドラマがオンエアされていないので、作品とこの曲がマッチするのか未知数な部分がある”とおっしゃっていましたが、オンエア後、ご自身でご覧になってみて、感触はいかがですか?
自分で言うのもおこがましいんですけれど、ドラマの予告やCM、劇中やエンディングで流れているのを少し客観的な立場で聴いてみて、作品とかなりマッチしているように思いますし、“間違っていなかったな”と手応えを感じています。
プロデューサーの次屋(尚)さん、中島(悟)監督や初山(恭洋)監督、共演者の皆さんからもすごくご好評をいただいていて、本当にうれしく思っています。
改めて、今回このようなチャンスをくださった次屋さんに、心から感謝の気持ちでいっぱいです
2月20日よりオンエアがスタートする、TAKAHIROさんご出演のSamantha ThavasaのメンズラインSAMANTHA KINGZのTV CMソングとしても起用されたそうですね。
そうなんです。Samantha Thavasaさんからお話をいただき、ありがたいことにダブルタイアップという形になりました。
撮影はL.A、しかも女性に大人気のミランダ・カーさんと共演されていらっしゃいますよね。
そうなんです。世界的に大活躍されているミランダさんと共演すること自体信じられないことなのに、そのうえミランダさんが出演されているCMに僕の曲が流れるなんて……。いまだに信じられません(笑)。
かなり大がかりな撮影で長時間に及んだのですが、貴重な経験をたくさんさせていただきましたし、すごく楽しかったです。
“Samantha Thavasa meets SAMANTHA KINGZ「かばんの中に、恋をおひとつ」”というCMなんですけれど、ドラマ『戦力外捜査官』で流れる『Love Story』とはまた違った表情を、CMでは感じていただけると思います。
ここまで大きなタイアップがつくことも、なかなかないことだと思います。
僕自身はタイアップを意識して制作した気持ちはまったくなかったので……、いや嘘です。ありました(笑)。
このような素晴らしいタイアップをいただくことができたのは、たくさんの方々の温かいお力添えがあってこそのことだと思っています。
本当にありがたい環境にいさせてもらっていて、感謝の気持ちしかありません。
『Love Story』を作詞される際、どのようなテーマで制作されたのですか?
まず、この曲が発売される“3月”という時期って、多くの方々にとってターニングポイントになる時期なのかなと思ったんです。だから、テーマを“始まり”にして、僕自身の人生観や恋愛観をマッチングさせ、歌詞を書いていきました。
新生活が始まる4月を前に、新しいことや新しい環境に挑戦するにあたり、不安を抱いている方もいらっしゃるのではないか、と。
また、環境に変わりはなくとも、日々夢を追いかけて頑張っている方もたくさんいらっしゃいますし、
皆さんの日常のなかに違和感なく、優しく溶け込んで、背中をそっと押すような世界観を表現してみました。
そのような世界観を、今作で表現した理由を教えてくださいますか?
理由というよりは、楽曲からインスピレーションを受けた部分が大きいですね。
初めてこの曲を聴いたときに、爽やかさのなかにも少し土臭さを感じられるようなギターサウンドにすごく惹かれて。
前作『一千一秒』に収録されている『二日月』を手がけてくださった、COZZiさんに今作を手がけていただいたんですが、COZZiさんの楽曲ということもあって、僕自身もまったく迷いなく、素直に表現できたように思います。
表現が合っているかどうかわかりませんが、聴いていると、頭のなかや目の前に、澄み切った青空が広がるような感覚を受けます。
ありがとうございます。僕自身も聴いていてすごく心地がいいですね。
自分で言うことではないかもしれないんですけれど、楽曲と歌詞が絶妙なバランスで重なり合っているなと感じています。
EXILE TAKAHIROソロとしてのルーツは、“ギターサウンドやロック”とおっしゃっていました。そんなルーツに沿ったEXILE TAKAHIROソロとしての“色”が、今作にも存分に出ている印象を受けました。
EXILE TAKAHIROソロとして発信していくにあたり、やっぱりファンの皆さんのリアクションを見て、ファンの皆さんがEXILE TAKAHIROソロに求めてくださっていることを感じながら、常に皆さんに喜んでいただける形で、自分の色を色濃く表現していきたいと思っているんです。
ソロ第2弾としてリリースする今作も、ルーツに沿って自分の色を気持ちよく表現できた、すごくバランスのとれている1枚になったと自負しています。
前作『一千一秒』とは、まったく違った表情を持った曲ですよね。
『一千一秒』がシリアスな面を持った、ドラマチックで色香漂う大人の雰囲気を持った曲だったぶん、今作は、ロック色は少し増しつつも、気負うことなくリラックスして聴いていただけるよう制作していきました。
EXILE TAKAHIROソロとしての確固たる“色”というものはブレることなくありつつ、いい意味で変化をつけていきながら、これからもEXILE TAKAHIROソロのさまざまな表情をお見せしていけたらと思っています。
『Feelings』は、作詞だけではなく作曲もTAKAHIROさんが手がけられています。
作曲を手がけたのは、僕にとって初めての経験でした。
とはいえCOZZiさんにいろいろなことを教わりながら作っていったので、COZZiさんと共作のような形ではあるんですけれど、本当にたくさんのことを学び吸収しながら作ることができ、
今後のアーティスト人生の糧になる素晴らしい経験になりました。
作品をリリースするときって、どうしてもアウトプットすることに意識が向いてしまうことが多いんですが、この曲ではたくさんインプットすることができたんです。だから、本当に想い入れの強い1曲になりましたね。A面でリリースしても違和感のないキャッチーなメロディですし、すごく気に入っています。
どこか懐かしい気持ちになる……、そんな印象をこの曲から受けました。
自分で聴いていてもすごく心が落ち着きます。実は、今回初めて自分で演奏したギターの音を録音させていただいたんです。
COZZiさんのご自宅のスタジオで教わりながら録音していったんですけれど、すごく楽しかった。
だから、一から作ったような達成感が本当にありますね。ACE OF SPADESしかり、今まで取り組んできたことを多少なりとも活かすことができたような作品になりました。
歌詞はどのようなイメージで書かれたのですか?
『Love Story』のテーマが“始まり”だとしたら、この『Feelings』は“夢の途中”のようなイメージ。
夢に対して進んでいくときって、ポジティブな気持ちを持って日々臨みつつも、うまくいくことばかりではないですよね。目の前に壁が立ちはだかったり、道に迷うことだってある。
もしかしたら、目指していた夢が急に変わることもあるかもしれない。そうやって、うつむいたり心が折れてしまいそうになったとき、やっぱり人はひとりでは決して生きていけないんですよね。
家族や仲間、恋人でもいいんですけれど、どれだけ離れていたって自分を思ってくれている人が必ずいる。そして、そうやって相手から思われるからこそ、自分も相手のことを思いやれるというか……。
そういうことをこの曲を聴いて改めて見つめ直し、胸に留めてほしいなと思って。夢の重さや大きさはもちろん人それぞれ異なりますし、同じ夢を目指す同志ではないにしても、尊重し、思い合える大切な人との心のつながりを感じて力に変え、前に進んでいってほしいという願いを歌詞に込めました。
押しつけがましくなく、心にそっと寄り添ってくれるような歌詞ですよね。
メッセージ性が強い歌詞もポジティブな歌詞も、とても素敵な歌詞だと思うんですけれど、きっと人によってはそのメッセージを受け入れられない時期もあると思ったんです。
逆に僕は、そういう受け入れられない時期に『Feelings』を聴きたくなるような……、そんな曲にこの曲が育ってほしい。夢に向かうときって明るい気持ちの人もいると思うんですけれど、目の前のたくさんの課題に取り組まなければいけなかったり、立ちはだかった壁を乗り越えなければいけないのにどうしても自信が持てなかったり、恐怖心から一歩踏み出すことができなかったりする人もいると思う。
そういう現実に直面している方々が、たとえば『Feelings』を聴いたことで、少しでも心を開いて力を抜くことにつながったら……。
優しく声をかけてくれるような?
“頑張ろう”“頑張らなきゃ”とプラスに考えて前に突き進むことももちろん大切なことではあるんですけれど、時には力を抜いて自分と向き合ったり、頑張りすぎないことも大切だと思う。
泣きたいときは思いっきり泣けばいいし、遊びたいときは、思いっきり遊べばいい。たとえONとOFFの線引きをしなくて大丈夫な人でも、たまには立ち止まることも休むことも必要だと思う。
でも、実際にいざそうするとなると少し勇気が必要で、友達からの言葉なのか、何かキッカケがないとなかなかできないことでもあると思うんです。そんな“キッカケ”の存在が、僕は音楽であってもいいと思った。この曲が皆さんの心に染み渡ることで、そういう“キッカケ”になれたら。
『ずっと』は、この3曲のなかでいちばん壮大な曲だと感じました。
失恋における何も考えられないほどの、壮大な悲しみを表現してみました。
ただただ悲しみにどっぷりと浸るような、悲しみの極限の世界観。
いわば、スーパーネガティブな曲ですね。失恋ソングって、ラストのほうで別れた相手の幸せを願ったりすることが多いんですけれど、この曲は吹っ切れる手前の……、まさに悲しみの真っ只中を描いています。
そのような大きな悲しみを表現した意図は?
この曲に、“意図”というものはないんです。あえて僕の意図をなくして、ただひたすら悲しみを書き綴りました。
なぜ、意図をなくしたのですか?
きちんとした意図があって制作された曲ももちろん素晴らしい曲ではあるんですけれど、意図があるとどうしても、発信する側の意図を聴いてくださる方々に届けよう、伝えよう……と押しつけになってしまう。
むしろ、僕の意図がなければないほど、この曲が聴いてくださる方一人ひとりのものになるのではないか、と。たとえば、普段の日常における会話でも、共感を得ようとすると、聞き手側は相手に返さなければいけないので、考えなければいけないですよね。
でも、ただ聞いてほしい、ただ誰かに話したいというときって、大げさに言えば、別に話を聞いてくれなくても、相槌を打ってくれなくてもいいわけで。ただ、そばにいてくれるだけでいい。そういう曲があってもいいのかなと思ったんです。
誰にだってものすごく悲しいときや、あえて悲しみに浸りたいときは、必ずある。そういうときに、皆さん一人ひとりの世界観のなかで、この曲を聴いていただけたら本望です。

「Love Story」MV Episode

『Love Story』のMVは、TAKAHIROさんの日常を切り取ったような世界観ですよね。
“プライベートな一面”をテーマにしたMVになっています。
日常のなかでも、オフの日を映し出していて、リアルな部分と僕の理想の生活を織り交ぜて制作しました。
EXILEの作品も含め、今までにないMVですよね。
そうですね。あるようでなかった、すごく新鮮に感じていただけるMVだと思います。
個人的にも、すごく気に入っているMVですね。
部屋のシーンでの小物も、僕の私物を取り入れていただいたので、いい意味で撮影という感じがあまりしませんでした。
終始、MVを撮っているという感覚がなかったくらい、すごくリラックスしながら、心地よく撮影することができました。
リアルな僕の姿に寄せた作品に仕上がっているような気がします。
MVに出てくる友人役も、本当にプライベートで仲がいい友人なんですよ。
そうなんですか!?
プライベートの友人のほうが、それこそ笑顔ひとつとってもリアルさを表現できるのかなと思ったんです。
役者業を始めて、TAKAHIROとしてお芝居をしている姿をお見せするようになったぶん、EXILE TAKAHIROの姿では演じていない面を映し出せたらいいなと思って。……って、まぁ思いっきり演じているんですけれど。(笑)
(笑)。ラブラドールレトリーバーも出演されていますが、すごくいい表情を見せていますよね。
“ロック”という名前の犬だったんですけれど、本当に素晴らしい演技をしてくれました。ほとんど一発OKだったんです。
テーブルにボールを持ってくるシーンがあったんですが、おやつを見せながら僕が“ロック”と呼ぶと、トコトコトコトコと駆け寄ってきて、ボールをテーブルにポンって。“本当にすごいなぁ”と、何度も感心させられましたし、とにかくかわいかったですね。
そんなロックの姿を、TAKAHIROさんがスケッチブックに描いているシーンがありますが、ご自身にとって久々の鉛筆画ですよね?なんだか、久しぶりにもかかわらず、以前にも増して腕が上がっているような……。
鉛筆画はすごく久しぶりだったので、描き始める前は、僕自身も描けるかどうかすごく心配だったんです。
描いている途中に、以前描いた愛犬エルの鉛筆画と比べてみたんですけれど、意外にも手数が増えていて(笑)。
自分で言うのもなんですが、“あれ!上達してる!!”と思いました。(笑)
(マネージャーさん:「もう、絵ではなくて写真ですよね」と一言)。
どれくらいで仕上げたのですか?
久しぶりだったので、4~5時間はかかりました。でも、たぶん慣れてきたら3時間くらいで描き上げられると思います。
実はMV撮影の前に、ロックの写真を見ながら描いていったんですけれど、実際にロックに会って、ロックの性格や愛嬌、雰囲気を感じながら描いていきたいなと思ったので、そのときは3分の2くらいまで描いてやめました。
残りの3分の1をMV撮影中に、実物のロックと照らし合わせながら仕上げていきました。
久しぶりに鉛筆画の作品を制作してみて、いかがでしたか?
鉛筆で何かを描くということが、絵を描くなかでもいちばん自分は好きなんだな、と改めて感じました。
鉛筆でしか出せない味というものがすごくあって、たとえば少しこすってしまっても、
それがまた味になったりと、鉛筆画って奥深いんですよね。
見た目や表面的な部分をキレイに描こうとするよりも、愛嬌といった表面よりももっと奥深くにある本質を表現していくことが、すごく楽しいんです。
これからも、素晴らしい作品の数々を楽しみにしています!! それでは、今作を振り返ってみていかがでしたか?
大好きな海の近くで大好きな犬とともにリラックスした撮影ができ、
ひとつの大切な思い出として、僕の心に刻まれた作品です。
すごくキレイな映像になっていますので、楽曲とともにMVの世界観も楽しんでいただけたら、うれしく思います。
interview & text 桜井麻美