STORY #03

”ALL ABOUT MYSELF... TAKAHIRO interview”

LOVE, DREAM, HAPPINESS AND FUTURE.

自信がないからこそ敵意剥き出しじゃないと、その場所にいられないような時期があった。それを打破するためにはとにかく実力をつけるしかないと思った。

ATSUSHIさんの歌を聴くと、表現者というものは人間性が表われるものなんだなと感じる。僕も人間力をもっと高めて、表現者として恥ずかしくない人間でいなければ。

もっと泥臭く、汗だくになりながら、夢を追いかけていける人でありたい。Love, Dream, Happinessをお届けするうえで、自分らしい夢の追いかけ方をしていけたら

——今回の『the VISIONALUX』をリリースするにあたっての想いから教えてください。
「EXILEに加入してから9年が過ぎ、10年目に突入するということ、また30歳という年齢を迎えた今、これまでやってきたこと全てを皆さんにご覧頂けるのはありがたいことですし、とても嬉しいです。20代卒業アルバムではないですが、ある意味ここで線引きできるところもあるな、と。EXILE TAKAHIROが表現者としてどういうことをやってきたのかということを観て感じて頂くことで、これから僕が進んでいく方向性や目的をしっかりと提示できると思いますし、本当にいい機会を頂くことができました」

——『the VISIONALUX』というタイトルには、視界(Vision)、夢・思い(Visionary)、光(Lux)、華美(Luxe)、そして10年目の新しい歩みということで10(X)という、5つの意味が込められています。
「内容もてんこ盛りで、重量も3キロとなかなかあるんですが(笑)、この『the VISIONALUX』は、EXILEに加入した2006年から今日まで“自分はこういうことをやってきました”とわかりやすく説明できる、EXILE TAKAHIROの名刺のような作品になっていくような気がしています。スタッフの皆さんが本当にかっこよく、クオリティ高く作ってくださいましたし、この作品集の制作を提案してくださったHIROさんに、心から感謝しています」

——これまでの9年間はどんな時間でしたか?
「あっという間のような、長くもあったような……。HIROさんを筆頭に、メンバーやスタッフの皆さんに背中を押していただきながら、かなり近道をさせて頂いたんですが、その中で、自分の色を出さなければいけないと背伸びをしてしまったり、自分がやるべきことを見つけるために試行錯誤していた時期もあったので、そういう意味では遠回りしてしまったような気もしています。へこんだり、後悔したり、反省したりしたことは数え切れないほどあるんですが、そのひとつひとつの経験が自分を強くしてくれましたし、負けずに諦めることなくやってきたことがすべて、今に繋がっているんだなと感じています」

——後輩も増えましたが、今はどんな想いで活動に向き合っていますか。
「EXILE TRIBEのメンバーが増えて、LDHもすごい勢いで大きくなっていくなかで、今は自分の立ち位置や居るべき場所が把握できているというか、30歳を迎えてようやく地に足がついてきた感じがありますね。とはいえ、その枠の中に収まるのではなく、真っ向からガツガツ立ち向かって行きたいんですけど、敢えて自分から“TAKAHIRO色”を出していかないと!!といったような背伸びはせずに等身大でいたいな、と。これまでは成果があとからどうにかついてくるような感覚で過ごしてきましたが、そんななかでも温かく見守ってくださったファンの皆さんには本当に感謝しています。これからも自分が楽しんで過ごすことで、またファンの皆さんにも楽しんで頂きたいですし、恩を返していきたいという気持ちも強いです」

——EXILEの中で仲の良いメンバーは?
「メンバー同士みんな仲がすごくいいですが、特にAKIRAさんと親しくさせて頂いています。同じ年にEXILEに加入したこともあってか、AKIRAさんは“二人三脚”という言葉をよく掛けてくださって。しかも、互いに忙しくて会えないときでも、超能力者なのかと思うくらいのタイミングで、自分がへこたれているときや悩んでいるときに、いきなり連絡をくれるんです。それがまた、自分が欲している言葉だったり、自分に足りないところをハッと気づかせてくれるような言葉なので、すごく不思議なんですよね。そういう意味では、本当にどこかで常に二人三脚で繋がっている兄貴なんだなと思います」

——一方、オリジナルメンバーの松本利夫さん、ÜSAさん、MAKIDAIさんの3人が年内でEXILEのパフォーマーとしての活動に一区切り打たれます。
「HIROさんが勇退なさったときと同じように、EXILEを辞めるのではなく、別角度から御三方それぞれの色で、しかもこれまでよりももっと色濃くEXILEを盛り上げてくださると思うんです。ファンの皆さんの中には、不安に感じる方やとまどう方もいらっしゃると思うんですが、新たなEXILEに期待して頂きたいなと思いますし、僕自身も今後のEXILEが楽しみですね。EXILEのパフォーマーに一区切りを打たれるだけなので、これからもEXILEメンバーであることには変わりありませんし、カタチは変わるかもしれないですが、変わらないものを大切にしながら、お互いに背中を押し合えるような関係であり続けたいなと思っています」

——3人がパフォーマーから居なくなることに寂しさはないですか?
「それはもちろんあります。僕が大好きで憧れだったEXILEのオリジナルメンバーですし、EXILE第二章の7人時代からずっと一緒に、いろんなステージ、いろんな環境、苦楽を共に過ごしてきたので。でも、EXILE PRIDEというものは変わらずにありますし、皆さんの背中から教わったこと、学ばせていただいたことをこれからも大事にしながら、共に歩んでいこうと思っています。正直、御三方が卒業する実感はまだないんですが、今年のツアーは、より一瞬一瞬を大切に楽しみながらやっていきたいですし、いろんな想いや思い出を噛みしめながら歌いたいですね」

——9年間で思い出に残っているライブを教えてください。
「もちろん、すべてのツアーが思い出に残っていますし、語り始めたら日が暮れてしまうんですが(笑)、やっぱり、EXILEに加入したいちばん最初のツアー(『EXILE LIVE TOUR 2007 EXILE EVOLUTION』)は、右も左もわからないままの、突然のアリーナツアーだったので、緊張がものすごかったことを覚えています。ただ、武道館で自分のEXILE人生が始まってから、何をするにもファンの皆さんが温かく迎えてくださったことが本当に嬉しかったですね」

——ライブに対する姿勢は9年間でどのように変化してきましたか?
「今だから言えることなんですが、自分の実力が気持ちと全然伴っていない時期は試されているような気持ちになって、ちょっとヒネくれたりしたこともあったんです。応援してくださっているファンの方にこんなことを言うのは本当に失礼ですし、プロとしてありえないことなんですが、“試されている”という感覚から、ファンの方を100%味方だと思えなくなってしまったこともありました。ちょっとしたアウェー感みたいなものを感じてしまったというか、疑心暗鬼に陥ってしまった時期があったんです。性格的にも負けず嫌いなところがあるので、そんな試すような目で見るんだったら受けて立ってやる!みたいな感覚になってしまって……。自分にとってもチームにとっても、ファンの皆さんにとってもまったく良くないことだと十分わかってはいたんですが、そうでもしていないとステージに立てない自分がいた時期もありました」

——最初は自信がなかったんでしょうね。
「小さい犬ほどよく吠えると言いますが、自信がないからこそ敵意剥き出しじゃないと、その場所にいられないような時期があって。そんな気持ちで歌っているのは良くないとわかっていましたし、それを打破するためにはとにかく実力をつけるしかない。そこから、ひとつひとつの活動やファンの皆さんの前で歌うことで、少しずつだけれど成長することができたと思います。でも、人間って不思議なもので、ひとつ手に入れると、ひとつポロッと落としてしまう。もともと持っていた自分の強みを忘れてしまったツアーもありました。だから、本当に毎公演、へこむことだらけ。想いを伝えたいのに伝わっている手ごたえが感じられなかったり、自分との闘いでもあるツアーもあったりと、苦い思い出は正直たくさんあるけれど、でも、ツアーをやっていると心がすべて幸せで埋め尽くされるような瞬間がやってくる。それがツアーの醍醐味ですね」

——醍醐味を感じるのは、たとえばどんなとき?
「最初のツアーで言うと、最終日の東京ビッグサイトのとき(2007年8月5日『EXILE LIVE TOUR 2007 EXILE EVOLUTION ~SUMMER TIME LOVE~』)。緑色のペンライトが会場中に波のようにバーッと広がったときは、こんなに素晴らしい景色は、どこに行っても見られないなと思いましたし、どの夜景にも劣らない景色だなと感動しました。もちろん、新たな課題も見えてきてはいたけれど、“ツアーを乗り越えた”という達成感もありましたし、とにかく幸せだけを感じられた瞬間でした。あの光景は、今でも鮮明に覚えています」

——あのときは涙で『道』が歌えなかった。
「そうですね。右も左もわかっていない自分が、とにかくどんなカタチであれ、アリーナツアーを走り切ることができたという安堵感もありましたし、周りを見たらメンバーも笑顔でいてくれて……。ファンの皆さんに温かく祝福して頂けたことに対しても、頭が上がらないというか、感謝の気持ちでいっぱいでした」

——今回の『the VISIONALUX』に収録されている新曲について訊かせてください。
「『いつかまた会えたら』は、『Love Story』や『二日月』『Feelings』などでお世話になっているCOZZiさんに、メロディーやトラックを相談させて頂きながら一緒に制作しました。これは自分の夢のひとつであるソロライブのラストソングのようなイメージで書きました」

——ファンの皆さんと一緒に歌う、みたいな?
「そうですね。だからサビは繰り返しになっています。皆さんと一緒に歌えることをイメージしながらメロディーを作って歌詞も書いたので、気に入っていただけたら嬉しいですね。あと『You』は、松尾潔さんに手掛けて頂いた曲で、実は3年前くらいから温めに温めていた楽曲。グリコアイス『牧場しぼり』のCMソングでもあるので、耳にしたことがある方もいらっしゃると思うんですが、これを機に収録することができて嬉しかったです」

——ライブや音楽番組で披露していたZIGGY『GLORIA』のカバーも初めて音源化されました。
「もともと名曲ですし、オリジナルの楽曲に思い出がある方もいらっしゃると思います。また、2014年の『SURVIVAL』(『EXILE TRIBE PERFECT YEAR 2014 SPECIAL STAGE “THE SURVIVAL”IN SAITAMA SUPER ARENA 10 DAYS』)や『EXILE TRIBE』ツアー(『EXILE TRIBE PERFECT YEAR LIVE TOUR TOWER OF WISH 2014 ~THE REVOLUTION~』)で皆さんの前で披露させて頂いたので、ツアーの思い出が詰まっている方もいらっしゃると思います。そんな皆さんなりの思い出が詰まった楽曲を、こうして音源にしてお届けすることができるのは、自分としても本望です」

——普段、作詞はどのようにすることが多いですか?
「結構、僕は妄想するタイプで(笑)、歌詞は頭に思い描いた景色を書くので苦戦することは滅多にないんですが、最初にテーマを決めないと何も出てこない(笑)。しかもそのテーマは、ほぼほぼ実体験なので(笑)、暗い曲はとんでもなく暗いんです(笑)。脚本を書くようなイメージで、0から1にする作業というよりは、自分の中にある1を100にしていくような感覚で書いています」

——ボーカリストとして日々、気をつけていることはなんですか?
「寝るときにマスクをつけること。あとは、お酒を飲んでも大声で話さないようにしたりとか……。もちろん、レコーディング前や歌唱が近い日はお酒を飲まないようにしていますが、それ以外はあまり細かく気にしないほうですね」

——喉は強いほうですか?
「たぶん強いほうだとは思います。というか、あまり神経質になりすぎても、逆に弱くなってしまいそうな気もして。ドラマ(『ワイルド・ヒーローズ』)をやっているときも、結構叫ぶシーンや声を張るシーンが多かったので、最初のころは嗄れたり、荒れたりしていたんです。でも、途中から喉に負担をかけない、腹から声を出す方法を掴んで、そこからは逆に喉が強くなったかもしれない。ちょっとやそっとじゃ嗄れなくなりました」

——ATSUSHIさんの隣で歌うことについてはどう思っていますか?
「それはもう僕の役得と言いますか、隣で歌わせていただいているだけで、本当に学ぶことばかりです。細かい技術もそうですし、楽曲のイメージの把握にしてもそうですし……。先日のレコーディングでも、改めてATSUSHIさんのすごさを実感しました。リズム感やスピード感を出す技術は、一緒に歌わせて頂いているからこそ感じ取れたり聴き取れるので、本当にありがたいです。歌うにあたっての心構えも近くで見たり聴かせて頂いたりして、とても勉強になっています。これからツアーもありますし、そこでまたATSUSHIさんの隣でいろんなことを吸収して、たくさん学んでいきたいなと思っています」

——TAKAHIROさんから見て、ボーカリスト・EXILE ATSUSHIのすごさとは?
「歌に命を賭けているところ。その覚悟がすごく伝わってきますし、歌を届けるために生きていると言っても過言ではないと思う。その姿勢に心から尊敬していますし、学ぶべきところですね。優しさとピュアさが滲み溢れ出ているATSUSHIさんの歌を聴くと、表現者というものは人間性が表われるものなんだなとつくづく感じるので、自分も人間力をもっと高め、表現者として恥ずかしくない人間でいなければと強く思います」

…continued to Deluxe Edition